*目標はかわいいおばあちゃん*
57歳になった時、驚いた。
還暦がすぐそこに近づいていることに気づいたからだ。
ひとつずつ年齢を積み重ねてきたのに、56まではなぜだか「50代前半」の感覚で過ごしていた。
還暦まで近いことに気づいたからといって、私の暮らしにとくに変化はない。
気づく前より、多めに意識しているということだ。
何者でもない私にも目標というものはいくつかある。
その一つは「かわいいおばあちゃんになる」ことである。
外見的には手のひらにのせて、優しくなでなでしたくなるような可愛らしさを身につけたいものだ。
にこやかでいることは大切なポイントのひとつだろう。
可愛らしいものは大切にされる傾向が高い。
身を守る意味でも「かわいいおばあちゃんになる」ことは有効だと思われる。
しかし外見的な条件を満たしても、性格的に可愛くなければ、目標達成にはほど遠い。
嫌味を言わない。
素直。
周りの人間をたくさん褒める。
ありがとうを言う。
自立心を持って日々をすごす。
覚えておきたいことは
「かわいいおばあちゃん」が心の中に一切の黒いものを抱いていない、というのはあり得ないということ。
物心ついた時点で、いかなる人間の心の中にもポジティブで明るいものの見方とネガティブで暗いものの見方が混在しているのだ。
まちがいない。
「かわいいおばあちゃん」は、おのれの中の暗く黒々とした存在をちゃんと認識してい
るけれど、それを外に向けて表現しないし、
それが誰かを傷つけることがないように細心の注意を払って日々をすごしているのである。
「かわいいおばあちゃんになる」ことはかなりハイレベルな目標のようだ。
がんばれ、わたし。